開発者必見:KB5066835によるlocalhost接続エラー(ERR_CONNECTION_RESET)の即時回避策とKIR手順

開発者必見:KB5066835によるlocalhost接続エラー(ERR_CONNECTION_RESET)の即時回避策とKIR手順

📰 最新情報:KB5066835の3つの深刻な問題(2025年10月22日現在)

2025年10月14日に配信されたWindows 11のセキュリティ更新プログラム **KB5066835**は、多くの脆弱性を修正した一方で、Web開発者やサーバー管理者に直撃する**3つの深刻な不具合**を引き起こしました。特に、IIS/localhost接続不能問題は開発業務を完全に停止させるリスクがあります。

問題1: IIS/localhost接続不能

状態: 🔄 KIRによる軽減済み / 恒久修正を準備中
発生元KB: KB5066835
影響: Web開発、IIS/IIS Expressを使ったデバッグ停止

問題2: WinRE USB入力不具合

状態: ✅ 解決済み
修正プログラム: KB5070773 (2025/10/20)
影響: システム起動不能時の復旧作業が不能に

⚠️ 会社の管理デバイスはIT部門へ相談を

企業で使われているPCの場合、Known Issue Rollback (KIR)の展開はIT管理者によるグループポリシー設定が必要です。自己判断でのレジストリ操作や更新プログラムのアンインストールは避け、必ず情報システム部門に確認してください。


「localhostが突然繋がらない」開発者の悲鳴

2025年10月14日(米国時間)以降に**KB5066835**を適用した**Windows 11**および**Windows Server 2025**環境で、多くのWeb開発者やシステム管理者が**「http://localhost/への接続が突然できなくなった」**という深刻な問題に直面しました。

この不具合は、ローカルで動作させている **IIS (Internet Information Services)** や **IIS Express** のWebサイト、さらにはASP.NETのデバッグセッションにまで影響を及ぼし、ERR_CONNECTION_RESET などのエラーで開発業務の生命線が寸断されました。

💡 localhost障害は「開発現場の大停電」

ローカルホスト(localhost)への接続は、Web開発者にとって「自分の机の上にある電源スイッチ」のようなものです。このスイッチが突然動かなくなることは、コードを書くことはできても、実行して動作確認(デバッグ)ができなくなることを意味します。つまり、プログラムをコンパイルできても、PCの電源が入らないのと同じくらい致命的な状況なのです。

🔴 問題の現象とエラーコード

KB5066835の適用後、ローカルホスト(http://localhost/や127.0.0.1)に接続しようとした際に、ブラウザや開発ツールで以下のようなエラーが報告されています。

  • ERR_CONNECTION_RESET(接続リセットエラー): サーバー側で強制的に接続が切断されたことを示唆。
  • ERR_HTTP2_PROTOCOL_ERROR(HTTP/2プロトコルエラー): 通信プロトコルの交渉段階で問題が発生している可能性を示唆。

⚙️ 技術的メカニズム:カーネルモードドライバー HTTP.sysの回帰

この問題は、WindowsのカーネルモードHTTPリスナーである **HTTP.sys** に混入した**回帰バグ**(Regression)が原因である可能性が高いです。

IISやIIS Express、HttpListenerを使用するアプリケーションは、すべてこのHTTP.sysを介して接続要求を受け取ります。今回の更新プログラムにより、HTTP/2交渉やTLS処理の挙動が変化し、特にローカルループバックアドレス(localhost)での接続時に悪影響を及ぼし、接続リセットを引き起こしていると考えられます。

💡 HTTP.sysは「カーネルの玄関番」

HTTP.sysは、Windowsのカーネル層に存在する「高速な玄関番」のようなものです。ブラウザやアプリからのWeb接続要求は、まずこの玄関番が受け取って、適切なWebサーバー(IISなど)に振り分けます。今回の更新プログラムは、この玄関番の「特定の条件(localhost/HTTP/2)」での対応リストにバグを混入させ、結果として通信の確立前に玄関のドアを叩き返してしまう(接続リセット)という事態を引き起こした可能性があります。

解決策と回避策:KIRによる軽減措置と手動対応

Microsoftは既にこの問題を**「確認済み」**とし、**Known Issue Rollback (KIR)** を利用した**自動軽減措置**を講じています。KIRは、セキュリティを維持しつつ、問題を引き起こした特定の変更のみをロールバックする緊急対応メカニズムです。

1. 公式軽減策:Known Issue Rollback (KIR) の適用手順

KIRが自動適用されるための手順(一般ユーザー向け)

  • Windowsの設定アプリを開き、「Windows Update」で「更新プログラムのチェック」を実行します。
  • 更新プログラムがなくても、必ずデバイスを再起動してください。
  • (注:KIRの適用には最大で48時間かかる可能性があります。)

企業管理者向け:グループポリシーによるKIR展開

集中管理されている企業デバイスでは、IT管理者がMicrosoft提供のKIRグループポリシー(MSIファイル)をダウンロードし、グループポリシーを通じて展開することで、迅速に問題を解決できます。

2. 緊急避難的な回避策(KIR適用前の緊急対応)

KIRがまだ適用されていない環境や、開発環境での緊急的な対応が必要な場合は、以下の**一時的な回避策**を試すことができます。ただし、これらは**セキュリティ上のトレードオフ**を伴うため、恒久修正が適用され次第、元に戻すことが推奨されます。

ステップ1: 最新のDefenderセキュリティインテリジェンスに更新
ステップ2: PCを再起動
ステップ3: 問題が解決しない場合はレジストリでHTTP/2を一時的に無効化

⚠️ 【非推奨】HTTP/2無効化のレジストリ操作

以下のレジストリ操作はOS全体のHTTP/2通信を無効化し、他のサービスやパフォーマンスに悪影響を与える可能性があるため、緊急時かつ自己責任でのみ行ってください。

レジストリキー: HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Services\HTTP\Parameters
DWORD (32-bit) 値を作成し、値を 0 に設定:

  • EnableHttp2Tls = 0
  • EnableHttp2Cleartext = 0

設定後、必ずPCを再起動してください。

🛡️ セキュリティと機能停止のジレンマ

KB5066835は、IISコンポーネントを含む**175件もの脆弱性**を修正する重要なセキュリティアップデートです。この更新をアンインストールして機能を回復することは、セキュリティリスクを再導入することと同義であり、特に**本番環境のサーバー**ではKIRによる軽減策を優先し、セキュリティパッチを維持することが強く推奨されます。

WinREとスマートカード:他の深刻な問題と修正状況

KB5066835で発生した他の2つの深刻な問題についても、最新の情報を確認しましょう。

🔄 WinRE USB入力不具合(KB5070773で解決済み)

KB5066835適用後、システム復旧時に使用するWindows 回復環境 (WinRE) で、USB接続のキーボードやマウスが機能しなくなる問題が発生しました。これにより、システム起動失敗時のトラブルシューティングが一切行えなくなるという重大な影響がありました。

  • 修正プログラム: 2025年10月20日にリリースされた**KB5070773**によってこの問題は解決済みです。
  • 対象: Windows 11 バージョン 24H2/25H2、Windows Server 2025

🔄 スマートカード認証問題(レジストリ修正による回避済み)

同じくKB5066835の適用後、スマートカード認証や証明書に依存するアプリケーションで問題が発生しました。特に32bitアプリケーションでのCSP (Cryptographic Service Provider) の認識不具合が報告されています。

  • 現在の対応: 公式のレジストリ設定(DisableCapiOverrideForRSA = 0)で回避可能です。
  • 将来の更新予定: このレジストリキーは**2026年4月**の更新プログラムで**削除される予定**です。

💡 WinREは「非常時のスペアキー」

WinRE(Windows 回復環境)は、WindowsのOS本体にトラブルがあった際の「非常時のスペアキーと工具箱」のようなものです。このスペアキーでシステムを修理する際、鍵(USBキーボード・マウス)が機能しないという不具合は、PCが起動不能になったときに誰も修理できなくなることを意味します。KB5070773の適用により、このスペアキーは再び利用可能になりました。

まとめ:IIS/localhost接続不能問題

まとめ:KB5066835が引き起こした開発環境への影響と対策

この記事では、2025年10月14日にリリースされた**KB5066835**が、Web開発者やサーバー管理者に引き起こした**IIS/localhost接続不能問題**を中心に、そのメカニズムと対処法を解説しました:

  • localhost接続不能:**HTTP.sys**の回帰バグが原因の可能性があり、**ERR_CONNECTION_RESET**が発生しました。

    最新の対応状況: 既に**KIR (Known Issue Rollback)**が適用されており、Windows Updateのチェックと再起動で自動的に軽減措置が完了する見込みです。恒久修正は今後のアップデートで提供予定です。

  • WinRE USB入力不具合:復旧機能が使えなくなる深刻な問題が発生しました。

    最新の対応状況: **KB5070773** (2025/10/20リリース) により**解決済み**です。

  • スマートカード認証問題:レジストリ修正による回避策が提示されています。

    最新の対応状況: レジストリ修正で回避可能ですが、**2026年4月**にレジストリキーが削除される予定のため、長期的な対応が必要です。

開発業務の停止は大きな影響を伴います。まずは**KIRによる自動解決**を待ち、急を要する場合はHTTP/2無効化のレジストリ設定などの**一時的な回避策**を慎重に検討しましょう。

慌てず、公式情報を確認しながら、一つずつ試してみてください。それでも直らない場合は、Microsoftサポートに「**KB5066835** localhost接続不能」と伝えて相談してください。

注:localhost接続エラーの原因は様々です。この記事では**KB5066835**による**HTTP.sys**の問題に焦点を当てていますが、他の原因の場合もあります。


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今回の**KB5066835**によるlocalhost問題は、システムの深い部分での回帰が、開発者の日常業務にどれほど大きな影響を与えるかを示しています。

皆様の環境で、KIRが自動適用されたか、あるいはレジストリ変更やDefender更新で解決できたかなど、具体的な状況や検証結果をコメント欄で共有していただけると幸いです。これらの情報が、Microsoftの今後の修正プログラムの品質向上や、他のユーザーの迅速な復旧に役立つ可能性があります。

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