「Word(ワード)やExcel(エクセル)はまだ普通に使えているのに、なぜ買い替えないといけないの?」
そうお感じの方も多いのではないでしょうか。実は、Office 2016と2019のサポートは2025年10月14日をもって終了しました。ソフトが起動しなくなるわけではありませんが、そのまま使い続けることはセキュリティ上の危険性が伴います。
この記事では、パソコンが苦手な方やシニアの方に向けて、サポート終了がもたらす具体的な「危険性」と、これからの「最適な選択肢」について、専門用語をできるだけ使わずに分かりやすく解説します。この記事を読めば、ご自身の状況に合った安全なOfficeの選び方がわかります。
💡 サポート終了は「鍵が壊れた金庫」
サポート終了した状態は、例えるなら、鍵が壊れた金庫にお金を入れたまま、玄関を開けっ放しにしているのと同じです。見た目には何も変わっていませんが、誰でも中身を盗むことができる無防備な状態が続いています。
注:セキュリティリスクの程度や対策方法は状況によって異なります。この記事では一般的なリスク要因に焦点を当てていますが、より詳しい情報は公式サイトでもご確認ください。
⚠️ セキュリティリスク注意
Office 2016・2019は2025年10月14日以降、セキュリティ更新プログラム(パッチ)の提供が完全に停止しました。新たな脆弱性が見つかっても修正されず、ウイルスやランサムウェアの被害に遭うリスクが高まります。
Office 2016・2019のサポート終了で何が起きるのか
セキュリティパッチとは、ソフトウェアの「弱点(セキュリティホール)」を塞ぐための修正プログラムです。これまでマイクロソフトは、新たな弱点が見つかるたびに、インターネット経由でこの修正プログラムを配布し、パソコンを守ってくれていました。
ところが2025年10月14日以降、このセキュリティパッチの配布が完全に停止しました。つまり、これからパソコンの弱点が見つかっても、マイクロソフトが穴を塞いでくれないのです。攻撃者はその放置された穴を狙って、攻撃を仕掛けてきます。
具体的なセキュリティリスク
⚠️ ランサムウェア(身代金要求型ウイルス)
メールの添付ファイルを開いたり、ウェブサイトを見ただけで感染することがあります。パソコン内の写真や文書データが勝手に暗号化されて開けなくなり、「元に戻してほしければお金を払え」と脅迫されるケースが増えています。
⚠️ 個人情報の流出
パソコンに保存している年賀状の住所録、ブラウザに保存したパスワードなどが盗まれる恐れがあります。その結果、クレジットカードの不正利用や、知人への詐欺メール送信の悪用などが発生する可能性があります。
「インターネットに繋がないから大丈夫」と思っている方もいるかもしれません。しかし、USBメモリやメール経由でウイルスに感染するケースも少なくありません。「自分は大丈夫」と思っていても、ソフトの弱点を突かれると防ぎようがないのが現実です。
自分のOfficeバージョンを確認する方法
「自分のOfficeが2016か2019か分からない」という方は、以下の手順で確認してみましょう。
「Office Home & Business 2019」や「Office Personal 2016」と表示されていたら、サポート終了の対象です。
Office 2024・2021・Microsoft 365の3つの選択肢
これからOfficeを購入する際には、主に3つの選択肢があります。それぞれの違いを理解して、ご自身に最適なものを選びましょう。
「買い切り版」と「定額制」の違い
買い切り版(Office 2024・2021)
一度購入すれば、追加料金なしで使い続けられるタイプです。これまでのOfficeと同じ購入形態です。
Office 2024:2024年10月発売。セキュリティ更新は2029年10月9日まで提供(発売日から5年間のメインストリームサポート)
Office 2021:セキュリティ更新は2026年10月13日まで提供。本記事執筆時点(2025年12月)で残り約10ヶ月のサポート期間のため、購入時期によっては検討が必要です。
定額制(Microsoft 365)
月額または年額で利用料を支払うサブスクリプション型です。契約している限り、常に最新の機能とセキュリティが提供されます。パソコンだけでなく、タブレットやスマホなど複数台で利用できるのも特徴です。
詳細比較表
Office 2024(最新買い切り)
支払い方法:初回購入時のみ(43,980円)
セキュリティ更新期限:2029年10月9日まで(発売日から5年間)
機能更新:なし(購入時のまま)
利用台数:PC 2台まで
クラウド:なし
おすすめ:◎ ネットをあまり使わない方、長期間安定して使いたい方
Office 2021(旧買い切り)
支払い方法:初回購入時のみ
セキュリティ更新期限:2026年10月13日まで(本記事執筆時点2025年12月で残り約10ヶ月)
機能更新:なし
利用台数:PC 2台まで
クラウド:なし
おすすめ:△ 購入予算が限られている場合は検討の余地あり
Microsoft 365(定額制)
支払い方法:月払い/年払い(年額21,300円・2025年1月16日改定後の価格)
サポート期限:契約中は永続
機能更新:常に最新機能が追加される
利用台数:同時接続 5台まで
クラウド:1TB(OneDrive)付き
おすすめ:◎ 安心・便利派、複数台で使いたい方
買い切り版 vs Microsoft 365、結局どっちがお得?
「毎月払うのはもったいない」と感じる方も多いでしょう。ここでは5年間使用した場合のコストを試算してみます(2025年1月16日改定後の価格に基づく)。
買い切り版(Office 2024)
初回購入:43,980円
5年間の合計:43,980円
定額制(Microsoft 365 Personal)
年額:21,300円
5年間の総額:106,500円
金額だけ見ると、買い切り版(Office 2024)の方が約62,500円お得です。ただし、Microsoft 365には以下が含まれています:
Microsoft 365に含まれる追加価値
- 常に最新のセキュリティ対策
- 1TBのクラウド保存容量(OneDrive)
- 電話やチャットでのサポート
- 常に最新機能の追加
これらを加味すると、実質的な差は縮まります。判断基準は以下のとおりです:
Office 2024を選ぶべき人
「とにかく安く済ませたい」
「現在の機能で十分」
「毎月の支払いが面倒」
これらに当てはまる方には、買い切り版が最適です。2029年10月9日までセキュリティサポートが続くため、発売日から5年間安定して使用できます。
Microsoft 365を選ぶべき人
「常に最新の安全性が欲しい」
「スマホやタブレットでも使いたい」
「クラウドバックアップが欲しい」
これらに当てはまる方には、定額制が最適です。
タイプ別おすすめ選択肢
自営業・個人事業主の方
おすすめ:Microsoft 365 Personal
請求書や顧客データを扱う場合、セキュリティは最優先です。1TBのクラウドストレージがついてくるため、重要なデータのバックアップ用としても優秀です。常に最新の機能が使えるため、取引先とのファイル互換性トラブルも防げます。
学生・主婦の方
おすすめ:Microsoft 365 Personal
レポート作成や家計簿など、パソコンだけでなくタブレットやスマホでも編集したい場合に便利です。家族で使うなら、Microsoft 365 Family(年額27,400円、2025年1月改定で値上げ。最大6人まで利用可能)も検討の価値があります。Familyプランなら1人あたりの負担がPersonalより抑えられる場合もあります。
シニアの方
おすすめ:Office 2024(またはプレインストール搭載PC)
「毎月の支払いや更新手続きが面倒」「インターネットはあまり使わない」という方には、一度買えば済む買い切り版が安心です。2029年10月9日までセキュリティ更新が続くため、発売日から5年間安心して使用できます。もしパソコン自体が5年以上前のものであれば、Office 2024が最初から入っている新しいパソコンに買い替えるのが最も簡単でお得です。
最新機能をよく使う方
おすすめ:Microsoft 365 Personal
常に最新の環境が整うため、仕事の効率化にも役立ちます。注:Office統合版のAI機能(Copilot)をフル活用するには、別途Copilot Pro(月額3,200円)などの追加契約が必要です。
Office 2024・Microsoft 365への移行手順
移行チェックリスト
移行前の確認事項
- 現在のPCのOSを確認(Windows 10またはWindows 11が必要。Windows 8.1以前の場合はPC買い替えが必要)
- Microsoftアカウントのメールアドレスとパスワードを用意
- 購入方法を決定(家電量販店でカード版を購入、またはオンラインコード購入)
- 古いOffice 2016/2019をアンインストール(トラブル防止のため推奨)
データ移行・引き継ぎのポイント
「ソフトを入れ替えたら、今までのWordやExcelのファイルが消えちゃうの?」と心配される方がいますが、ソフトを入れ替えても、作成した文書ファイルは消えません。ただし、念のため以下の対策をしておくと安心です。
データ保護対策
- USBメモリにコピー:「ドキュメント」フォルダや「写真」は、USBメモリにコピーしておきましょう
- OneDriveの活用:Microsoft 365に移行する場合、OneDriveを使えば自動的にクラウドに保存され、新しいPCに買い替えた際もログインするだけでデータが戻ってきます
まとめ:Office 2016・2019サポート終了への対応
Office 2016・2019のサポートは2025年10月14日をもって既に終了しています。「まだ使えるから」と放置することは、無防備な状態でセキュリティリスクに身を置くことです。
今すぐやるべきこと
- 自分のOfficeのバージョンを確認する
- 「2016」「2019」だった場合、Office 2024かMicrosoft 365のどちらにするか決める
- パソコン自体が古い(購入から5年以上)なら、Office付きの最新パソコンへの買い替えを検討する
あなたの貴重なデータと安心を守るために、今週末にでも家電量販店へ行くか、オンラインストアで新しいOfficeをチェックしてみてください。
早めの対応が、快適で安全なデジタルライフを守ります。
📌 価格情報について
本記事掲載の価格情報は2025年1月16日改定後のものです(本記事執筆時点:2025年12月)。Microsoft 365やOfficeの価格は今後変更される可能性があります。最新の価格・サービス内容については、Microsoft 365公式購入ページで最新情報をご確認ください。








